m a s t e r p i e c e
代表作 / 人気作品
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代表作 / 人気作品
空 2019
コンセプトとして追究している「時」を象徴する作品です。画面の大半を占める余白は単なる空白ではなく、広がり続ける空間としての「空(くう)」を示しています。緩やかにうねる細い線は、雲や風、時間の流れといった目に見えない気配を暗示し、にじむ点は存在と非存在の境界を曖昧にします。これらは何かを明確に表現するのではなく、固定された実体を持たない「空」の本質を静かに可視化しています。
文字の可読性を僅かに残し、人の手による痕跡を最小限に留め余白に委ねることで、鑑賞者が各々の「空」を感じる構造としています。静謐でありながら深い余韻を残すこの作品は、空間表現としても人気の作品です。
会 2020
漢字の構造を解体し、空間の中で再構築することで、「会う」という行為そのものを可視化した作品です。上部に広がる筆致は、場を包み込む空気や天の存在を示し、中央に配された大小二つの円は、人と人、心と心が触れ合う接点を象徴します。下部の鋭角的な形は立つ人の姿を表現し、「会」は受動的な出来事ではなく、その場に立ち向かう意志によって成立することを示唆しています。黒墨と金色の対比は、現実と精神、身体と内面が交わる瞬間を際立たせ、光の変化によってその表情が変化します。
文字として読む前に、関係性と気配を体感できる本作は、「会」という一瞬の出来事を、構造と余白によって表現しています。
今 2022
「今」は過去と未来の連続の中で唯一触れることのできる一点───凝縮された時間という概念の可視化を試みた作品です。 即興的な偶然性に委ねず、線は意図して途中で溜まり、滲み、あるいは鋭く断ち切り、時間が均質に流れていないことを示唆します。「今」という瞬間が、常に揺らぎを孕み、決して固定できないものである概念を反映しています。
金色の質感表現は光の反射や見る角度によって表情を変えることで、「今」が常に変容し続ける存在であることを示します。時間が一瞬ごとに異なる相を持つこと、そしてその瞬間が二度と同じ姿では現れないことを視覚的に体験できます。 また、金色の層は互いに侵食し、これは永遠と刹那といった二項対立が、「今」という一点において溶け合う様を象徴しています。
質感は主張するためではなく、思考と時間を深く沈ませる媒体としての役割を担います。 時間の圧縮されたこの作品は、鑑賞者自身が「今」と対峙し向き合う時間を創造します。その意味で「一字専心 / one character, embodying time.」という制作思想を最も端的かつ純度高く体現した作品の1つです。